先日、弁護士の先生とお話をする機会がありました(別に幼稚園にトラブルがあった訳ではありませんので、ご安心下さい)。雑談になった時に、「弁護士の仕事は大変でしょうね。だって、ハッピーな人は誰も相談に来ないでしょうから」と私が申し上げると、「そうですね」と苦笑されました。お医者さんも同じですね。病気や怪我で困っている人しか訪ねてこないのですから。
そう考えると、幼稚園の先生の仕事は恵まれています。毎日子ども達のその可愛い姿や、笑顔に囲まれて過ごせるのですから。
とは言え、先に申しましたように弁護士さんや、お医者さんは、笑顔に囲まれることはなくとも、日々お仕事に精励されています。そのエネルギーは、どこから来るのでしょう。
いささか旧聞となりますが、今年の南薫校区成人式に招かれ、新成人に何か話をせよとの依頼を受けました。そこで私は「四つの幸せ」という話をしました。
人には四つの幸せがある
一、人から愛される幸せ
二、人から褒められる幸せ
三、人の役に立つ幸せ
四、人から必要とされる幸せ
この中で一番目は、家庭の中でも実感出来るが、二番目以降は実社会で働くことによってしか真に味わうことが出来ない。
取引先やお客様、あるいは職場の同僚から「あなたのお蔭で助かった」、「あなたがいないと困る」等の言葉を掛けてもらった瞬間は、誰でも何ものにも替え難い、そしてじんわりとした歓びを感じることでしょう。
笑顔に囲まれることの少ない弁護士さんや、お医者さん、そして多くの職業に就いてある方々にとって、単にお給料のためだけでなく、これらの歓びや幸せを実感出来ることがモチベーションや、やり甲斐の原動力になっているのではないかと思います。
全く同じとは申しませんが、子ども達にとっても成長や、意欲を育むための大切な要素となります。
先ずは、自分は親から「愛されている実感」を日々感じられる環境にあることが、全てのスタートラインです。
その上で、例えば何かお母さんのお手伝いを子どもがしたとすると、「○○ちゃん、お利口ね」と言うよりも、「○○ちゃんがお手伝いをしてくれたから、お母さん助かったわ~」と、言葉を掛けてあげましょう。
時には子どもに対して「あなたがいないお家は考えられない。あなたがいてくれて、良かった!」と、心を籠めて語ってあげましょう。きっと子ども達は「僕は(私は)この家に居て、良いんだ」との実感を、たとえ無意識にせよ、心の奥底で感じることでしょう。
そのことを英語では「It’s OK to be here」
と表現するそうです。ここにいて良いよ、私のそばにいて良いよ、という言葉です。
全ての子ども達が、家庭の中で「居場所」を実感出来ますように。