常緑とか不朽を意味する英語で「エバー・グリーン」という言葉があり、 音楽では「時を経ても色褪せない名曲」というニュアンスで使われることがあります。
ジャズやミュージカルのスタンダードナンバー、フォークソングやロックの名曲、歌謡曲では「懐メロ」などが典型でしょう。保護者の皆様方にも、若い頃に聴いて今もなお懐かしく思い出すような音楽があることでしょう。
私にとっては中学生の頃に「耳で覚えた」英語の歌がそうです。ブラザースフォアの「500マイル」、PPMの「パフ」、ミュージカル「ウエストサイド物語」の楽曲などは耳にするたび懐かしく、またまるで昨日作曲されたかのように新鮮に感じます。
人には思い出の音楽があれば、思い出の場所もあります。NHKで俳優の火野正平氏が自転車で全国を旅する番組があり、ご覧になった方も多いでしょう。この番組では、視聴者から寄せられた「思い出の場所」を火野氏が訪れるという構成になっており、その多くが名所旧跡などではなく「高校生の時に通った坂道」とか「初恋の人とデートした海岸」など、ごく普通の(でも当人にとっては、忘れ難い)場所を実際に行ってみるのです。
当然なのかもしれませんが、「親子」または「家族」で過ごした、あるいは訪れた場所というのが、その多くを占めています。
何十年も前に親子遠足で行った公園とか、家族旅行で泊った温泉などが紹介されると、今の園児さん達が成人して、どんな所を思い出の場所として、強く印象に残っているのか興味深いところです。(あかつき幼稚園も入っていると、良いのですが)
さて私のように60年近く生きておりますと、国内外数え切れぬ程いろいろな街や所に足を運びました。様々な思い出の場所がありますが、やはり子どもと一緒に(それも中学生以下の頃に)訪れた所は特別です。そのような場所を訪れますと、「ああ、あの頃は○年生だったよなあ。ここで、こんなポーズで写真を撮ったことがあったよなあ」などと個人的な感慨に耽(ふけ)ることがあります。齢をとった証拠かもしれません・・・。
また、かつて訪れた建物は変わったり、無くなったりしますが、自然はそのまま残っています。こんなところにも、人の世の移ろい易さと、悠久の自然との対比を再認識させられます。
そうそう。今年頂いた年賀状の中に、とてもユニークなものがありました。知人からのもので、お子さん三人との五人家族の写真が掲載されていました。それだけなら珍しくないのですが、同じ場所、同じ並び方、同じポーズで写した20年前と現在の写真が並べられていたのです。子ども達の成長、ご夫妻の加齢(失礼!)ぶりが、よく分かる一枚でした。
どうです?皆さんも20年後の家族の姿を想像しながら、その時に並べてみる「今の」一枚を選んでみては如何でしょうか。