日本で開催されるラグビーW杯にあわせるように、先月までラグビーの企業チームを舞台とする池井戸潤氏原作のTVドラマ「ノーサイドゲーム」が放送されていました。

主人公は大手自動車会社の本社に勤務していましたが、ある日その自動車会社の工場長として左遷されます。また工場長は、ラグビー部のGM(ゼネラル・マネージャー)も兼任せねばならないことも、後日知ることになります。
ラグビーに関して素人どころか、反感すらもっていた彼ですが、次第にラグビーの魅力に取りつかれ、部の強化と存続に奔走する事になり・・・とドラマは展開していくのですが、ここではラグビーの話ではなく、「本社から左遷され」という部分について述べます。
同じく池井戸潤氏の「半沢直樹シリーズ」もそうでしたが、大企業やメガバンクの本社に勤務していた者にとって、工場や子会社に出向を命じられるのは「挫折」であり、当人にとっては「死刑宣告」のように感じるのかもしれませんが、そこには以前から普通に勤務していた人達がいる訳ですから、そう思うのは「失礼」というものでしょう。

要はどこで働いても、その人の考え方ひとつで決まるものです。また挫折したと思うのもその人の考え方であり、そこから立ち上がるのも、その人の考え方や決意がものをいいます。
幼児には「できた!」、「わかった!」という成功体験が大切である、ということに異論はありませんが、いつも上手くいったり、最初から成功したりする訳ではありません。
例えば鉄棒の「逆上がり」。これまで多数の園児さんを拝見してきましたが、入園してすぐ逆上がりが出来た子は、一人もいません。毎日のように鉄棒にぶら下がり、練習を重ねて、ある日「出来た!」という瞬間を迎えます。もしこの子が、一度練習して出来なかった場合、「もういいよ」として諦めたら、逆上がりが出来ないまま、卒園していく事でしょう。このような時に大切なのが、「励まし」です。幼稚園では先生方が、ご家庭では保護者の皆様が、「世界一の応援団」なって頂きたいと思います。

今月は運動会があります。勝っても負けても、駆けっこで何着になろうとも、子どもの頑張りを認め、褒めて頂き、「また今度頑張ろうね」と、次のチャレンジへの気持ちを促して下さい。子ども心に傷を残すような挫折体験は不要ですが、「よ~し、今度は」と思えるようなプチ挫折体験は、意欲や「負けん気」を養う上で、とても重要だと思います。

最後に10月から始まる「無償化」について。まだ満三歳の誕生日を迎えていない園児さんを除いて、全員の保育料が25.700円、毎月減額されるようになりました。その分で「月に一度の豪華焼肉大会」などはお控え下さい。例えば子どもの絵本や図鑑の購入、お稽古ごとの月謝、将来に向けての学資積み立て等、子どものため、子どもに関することに用いて下さいますよう、心から願います。