令和元年を迎えました。新たな元号の時代が、子ども達にとって素晴らしい年月となりますよう、心から祈ります。
四月の誕生会で素敵なお話を伺いました。年長さん女児のお母様から教えて頂いた、ある日の女児の言葉です。
『ねえママ、私ママが大好き。それでね、小学校1年生までは“ママ大好き”って言うけど、2年生になったら恥ずかしから、言わなくなるよ。でも本当は、いつまでもママのことが好きよ』
こんなふうに言われたら、母親としては泣くしかないでしょうね。
このように、どの子も自分の親が大好きです。それは「けなげ」という表現を用いたくなるほどですし、また親の気持ちを良く分かった上で、どうしらた親が喜んでくれるかを一所懸命考えるものです。
例えば「この赤いシャツと、青いシャツでは、どっちがいい?」と聞かれたら、本当は赤い方が好きなんだけど、青を選んだ方がママが喜ぶかな?と考えて「う~ん、青いシャツ」等と言うことがあります。
もう少し大きくなって、新聞チラシで塾の広告があったとして、「ねえこの塾、良いみたいよ」と親から言われたとしたら、本心では塾なんか行きたくないと思っていても、親は望んでいて、自分にそう期待していることが分かりますから、「うん、行ってもいいよ」と答えるものです。
しかし大抵は後日談があって、我が子は塾に行っているものと思っていたら、どこかでブラブラ遊んでいたことが分かり、「あなたが塾に行きたいって言ったじゃない」とか言って叱るハメになります。
このような笑い話程度で済めば良いのですが、問題は虐待やDVを受けている子ども達の中に「私が悪い子だから、親の言うことを守らないから、こんなめ(叩かれるなど)に遭っても仕方が無いんだ」と、自己批判する子が、少なからず存在することです。
話を戻しますが、人間は生まれた時から「良知(りょうち)」というものが備わっている、とされています。良知とは、例えばお母さんが重そうな荷物を運んでいたら、「ママ、僕が持つよ!」と駆け寄る心です。
しかし残念なことに、年数を経るとこの良知が、だんだんと曇って来ます。全ての行動に際して「損得勘定」が発生するからです。
親「ねえ、ちょっとお使いに行ってよ」
子「嫌だよ、今TV観ているんだから」
親「お小遣いをあげるからさあ」
子「いくら?」
親「500円」
子「う~ん(心の中で損得勘定)行く!」
幼稚園時代は、良知の時代です。冒頭に紹介したような素敵で素直な言葉を聴けるのは、今しかないと言っても過言ではありません。この今、宝物のような日々を親として過ごしていることを感謝しながら、この良知が曇らないように、正しく導きましょう。