本園創立以来、昨年まで50年以上の永きに亘って幼稚園の運動会は、五穀神社の境内で開催して参りました。ところが神社の施設の一部が取り壊され、その再建工事がいつ始まるのか未確定なのです。
いつものつもりで練習を境内で始めても、突然神社の方から「工事が始まりますから、運動会は使えません」と言われたら、子ども達も途惑ってしまいますので、年度当初から今年の運動会は、中央公園で開催すると決めていました。
保護者の観覧スペースは従来より広くなりますが、園側としても初めての場所での開催ですから、練習の段階から試行錯誤を重ねて準備を進めているところです。
ともあれ、園児も保護者も、ついでに園長以下教職員も初めて体験する貴重な今年の運動会となりますね。
さて、大人も子どもも「得意・不得意」があります。我が子が代表リレーの選手に選ばれたのは嬉しいけど、その子の親も選手として走らねばならないのは、勘弁して欲しいなあ、と思っている保護者もいらっしゃるかもしれません。
運動が得意で、駆けっこ大好き!みたいな園児は、運動会が楽しみでしかたないでしょうが、そうではない子や、大勢の人の前に立つのをプレッシャーに感じる子は、運動会と聞いただけで、ブルーになることもあります。(子ども時代の私は、そうでした)
一方で、文字の読み書きが大好きな園児は、毎日の「学習」の時間を楽しみにしています。身体を動かすのは得意だけど、絵画や製作等に集中するのは苦手、という園児もいます。
ところで、昨年度から「考えるノート」を導入したところ、一部の保護者の中には「幼稚園がお勉強路線に転向した」と受け取っている方が、いらっしゃるようにも聞いています。それは違いますよ。一日15分の学習の時間内にノートを数ページしているだけの本園が「お勉強路線」とPRしたら、もっと本格的にやっている幼稚園さんに対して、失礼というものでしょう。
話を戻しますが、何でも出来る子なんて一人もいません。だから幼稚園で、いろいろな経験を積むことが大切なのです。このことを本園では「偏りの無い教育」と呼んでいます。幼児期の子どもには、まだ「個性」と呼べるものは存在しません。将来、どんな芽が出て、どちらの方に伸びて行くのか、今の時期では皆目見当がつきません。だからこそ、幼児の間に様々な体験や、経験をさせ「下地(したじ)」を作ることが大切だと考えます。
そして全ての場面や内容で、「出来る・出来ない」より、やろうとした・やってみた・出来るようになるため努力した、というプロセスや頑張る姿を注目しています。
もちろん結果も大切です。でも誰もが100
mを9秒台で走れる訳ではありません。15秒の子が14秒に、14秒の子が13秒で走れるようになることが重要だと思います。
「僕はやったぞ」、「私も出来た!」という達成感と共に、勇気の種、自信の種が、子ども達の心に根付く運動会となりますように。