ご入園、ご進級おめでとうございます。本年度も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて春休み中の先生方の研修の中で、私からこんな提案をしました。「先ず、できる先生を目指そう。次に、できた先生を目指そう」と。
できる先生とは、日常の保育や幼稚園業務が、ある程度「一人前」のレベルに出来る状態の先生を示します。その際のモノサシとして「約束」という言葉を使いました。仕事というものは、ある意味「約束を果たすこと」と考えるからです。
幼稚園としては、こんな教育をしますとか、こんな子どもに育てますと、皆様に約束をしている訳ですから、遅くとも卒園までにその約束を果たさねばなりません。
現場の先生方も同様で、子ども達との約束、保護者との約束、職場に於いては上司や同僚との約束を果たさなくてはなりません。
それらが、ほぼ完全に出来るようになったら「できる先生」と認められるでしょう。
一方、世の中には褒め言葉として「あの人は、できた人だ」と評することがあります。周囲の人々からの人望があったり、信頼や尊敬を集めたりする人がそうです。
ある程度一人前の先生になったら、次には「あの先生は、できた先生だ」と言われるようになることを目標にしようよ、と勧めました。
そうなるためには「自分との約束を守る」ということが鍵になります。
先程は「人との約束を守る」という話をしましたが、実は自分との約束を守る方が難しいのです。ダイエットのために毎日30分運動をしようとか、間食は止めようとか自分で決めても、三日坊主になることが多いのではないでしょうか。お父さん方では「今日は真っすぐ家に帰ろう」と決めていても、「どう、ちょっと一杯」と誘われると、断れない方も多いのではないでしょうか(私はその典型です)。私は「できた人」の第一歩は、自分との約束を守ることから始まる、と思います。
さて、この話を「親」に当てはめて考えてみましょう。
私は「できる親」というのは、考えなくても良いと思います。両親ともに家事や育児が完璧に出来て、仕事もバンバンこなせる・・・そんな人はいませんし、想像しただけでも現実とのギャップに疲れてしまいます。
それよりも時間をかけて、いつの日か「あの人は、できたお父さん(お母さん)だねえ」と言われることを(密かに)目指してみませんか。
全ての子どもは両親を信頼し、尊敬し、そして何より大好きなのです。その子ども達の気持に応えるために、少しでもより良い親になろうと考えたら、その時の「自分との約束」を果たす第一歩が始まるのです。
幼稚園の先生達も同じなのです。皆さんは今年も「だって、先生が言ったもん」という言葉を何十回聞くことでしょう。それ程までに園児は先生を深く信頼しています。私達はその信頼に応える義務があるのです。