「なんで勉強しなくちゃ、いけないの?」
将来、皆さんのお子さんから、こんな質問をされたら、何と答えますか?「いい学校に入って、いい会社に就職するためよ」でしょうか?私はちょっと違うような気がします。
本来勉強とは、楽しいものであるはずです。例えば、発展途上国と呼ばれる国々に小学校を造ろうという運動が、わが国でも地道に続けられていま
す。完成した校舎で学ぶ現地の子ども達の笑顔は、どの子も輝いています。一方で、日本の子ども達は誰もが無条件に学校に行けますが、みんな毎日顔を輝かせて登校し、授業を受けているでしょうか。
知らないことを知る、分からなかったことが分かるようになる、出来なかったことが出来るようになる、それらは全て喜びであり、楽しいことであり、それこそが勉強をする醍醐味だと思います。
偉そうなことを書いていますが、私も子どもの頃から高校生までは「勉強=苦痛」以外の何ものでもなく、大学生になって少しだけ、社会人になってもう少し「お勉強は楽しいなあ」と、口に出来るようになりました。
さて冒頭の質問に戻りましょう。なぜ勉強しないといけないのか、に対して「成績が下がるから」という答えも大いにありそうです。それでは、「どうして成績が下がるといけないの?」という質問が続きそうです。これ以降は、だいたい予想が出来ます。
「成績が下がる」→「いい高校に行けない」→「いい高校に行けないと、いい大学に行けない」→「いい大学に行けないと、いい就職が出来ない」→「いい就職が出来ないと、いい生活が過ごせない」・・・?
賢明な本園保護者の皆さまなら、この思考パターンは、どこかヘン(少なくとも絶対ではない)ということを、お感じになると思います。大学を卒業すれば、いい就職が出来るなどという保証は、今どきどこにもありません。中学や高校しか出ていなくても、私より裕福な暮らしをしている
人も、お金はあっても不幸な人も、世の中にゴマンといます。
本当のところ、なぜ勉強しなくてはいけないのか、親もよく分からないのです。
そこで私からの提案です。「何のために」が、キーワードです。人生の目的は、幸せになることです。ただし自分が幸せになりたかったら、一人でも多くの人を喜ばせたり、一人でも多くの人から感謝される働き方や、生き方をしなければなりません。より多くの人達から「ありがとう」と言ってもらえることが、幸せな人生の必須条件なのです。
その目的を果たす為に「目標」があります。病気で苦しんでいる人達を助け、感謝されたいという目的があれば、「医学部合格」が目標になります。美味しい料理をつくって、食べる人に喜んでもらいたいという目的があれば、「一流の料理人になる」という目標もあるでしょう。ここで間違えてはならないのは、医者や料理人になること自体が、人生の目的でも幸せでもないことです。「幸せになるため(つまり、多くの人に喜んでもらうため)に、勉強するのよ」と、さらっと言える親になって下さい。