私はホークス中継以外の番組に関しては、熱心なTV視聴者ではないのですが、そんな私でもNHKの朝ドラは時折観ております。
先月末で「花子とアン」が終了しましたね。前年度の前期が「あまちゃん」、後期は「ごちそうさん」と、有名かつ強力なタレントさんが出演し、人気もあっただけに「花子~」が始まった時は、制作側も出演者も「やりにくいだろうなあ」と、他人事ながら密かに同情しておりました。ところが、そんな私の心配をよそに「花子~」も最後まで高視聴率で推移していたようでした。
この番組でユニークだったのは、ナレーション(語り)を美輪明宏さんが担当し、毎回その終わりには「ごきげんよう。さようなら」と、おっしゃるところでした。
また個人的に最も印象に残った放送が、花子がラジオ番組の放送で「ごきげんよう」と語りかけることに関して放送責任者から、そんな上流社会の言葉は、一般の庶民には通じないから使わないように、との指摘を受ける場面です。
花子はその責任者に対して「ごきげんようとは、一部の上品な人達が独占して使う言葉ではありません。相手に対して、幸せでお過ごし下さい、という願いが込められた言葉です」と反論します。
ごきげんよう・・・。確かに私達の日常生活では、まず口にしない言葉です。でもこの言葉は、その響きが優しく、人と会った時も、また別れる際にも使える便利な言葉です。今日もごきげん(機嫌)良くお過ごし下さい。これからもお幸せに、あなたにとって良いことがありますようにとの願いや、祈りが込められています。なんだか、ふんわりと相手を包み込むような上品な優しさがありますね。まさに「美しい日本語」です。
皆様もご存知のように、本園では「美しい日本語」を、少しでも子ども達の心に残そうと努めております。俳句、和歌、ことわざ、花言葉、唱歌などを通じて、日本語の美しい響きやリズムを体感し、味わうことによって心の奥底に刻まれることを願っています。
もちろん英語(外国語)教育を、否定するつもりはありません。久留米市内で初めてネイティブの講師を定期的に招いて、子ども達に英語を指導し
た幼稚園は本園ですし、現在も大切に続けています。しかし何度も申し上げますように、英語を覚えさせよう、英語ペラペラの子を育てようと思ったことは、一度もありません。
英語は道具のひとつです。世の中には違う言語もある、皮膚や髪の色の違う人もいる、多様な文化があることを、子ども達に理解させるために行っているのです。
日本人である定義は、「日本語が話せること」に尽きると思います。日本語は、それこそ立派な文化遺産です。ただし博物館に陳列するのではなく、継承されるところに意義があります。立派な日本人となるためにも。